●母子生活支援施設くらき

分野

(対象種別)

運営主体  所在地 使用評価項目

報告書作成日

(運営委員会開催日)

社会的養護

(母子生活支援施設)

(社福)久良岐母子福祉会

横浜市南区 

全社協版

2013年11月1日

 
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公表用評価結果報告書【母子生活支援施設くらき】.pdf
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報告書より抜粋:総合評価

【施設の概要】

当施設は昭和26年に神奈川県が県立久良岐母子寮と併設の久良岐保育園を設立したことに始まります。その後、昭和29年に財団法人神奈川県母子福祉協会が設立され事業を継続し、以来同法人は横浜市南区に根を下ろし、時代の要請に応えて次々と母子寮、保育園、母子ホーム、乳児院を設置・運営し、昭和45年に社会福祉法人久良岐母子福祉会へと組織を変更しました。南区中里に広い敷地を有し、現在、3階建の建物の1階に法人本部を置き、同じ1階に保育園、2階に乳児院、3階に母子生活支援施設と学童保育室を併設しています。同法人ではこれ以外に南区井土ヶ谷で保育園を経営しています。

久良岐母子寮は当初から地域の学童との交流を図り、地域に開かれた施設でした。平成10年に母子生活支援施設くらきと名称を変えてからも、設立当初からの特徴である家庭的な温かさと地域の学童も共に支援する精神は受け継がれ、今日に至っています。当施設は現在10世帯定員ですが、平成27年秋をめどにして、20世帯定員の施設に改築移転の予定で準備中です。

 

●特に評価が高い点

1】利用者それぞれのありのままな姿が受け止められ、きめ細かい支援の中で、自らの気づきによる自己決定を行う力が養われています

入所に当たり、自立促進のための「入所生活に於ける最低ルール」の約束事があります。その上で、一人ひとりのペース、意思、選択が大事にされた施設での生活が始まります。最も大切にされているのは、利用者に対して常にその人その人に直接に向き合い、課題を共有し、寄り添った支援をする、ということです。温かく、しかし自発性を損なうサービスは行なわないという方針の、この施設の生活の中で、日々の営み、小さなコミュニケーションが積み重ねられていき、利用者の多くは次第に自己肯定感を抱くようになります。

「母の会」「子の会」そしてさまざまな行事は、利用者が楽しむとともに、人間関係の構築や社会生活を送る上での責任感を養うなど、自立の促進を目指して企画されています。恒例の母子旅行はアンケートで行き先や行程を決め、母たちが職員と共に下見に行き、当日のために写真を散りばめた「しおり」を自分たちで手作りします。節分の祝い方なども「母の会」で検討します。

生活の中で生きる力を養い人生を見つめ直し、自らの将来ビジョンを描くようになった母子は、自立に向けて再出発していきます。退所後もこの地域に住みついて生活する母子も多く、また、バーベキューパーティ、くらき祭り、その他さまざまな行事には退所者も職員OBも集い、旧交を温めています。

 

2】職員が連携し、連続性・一貫性を持った支援をする仕組みがあります

当施設は母子支援を主とする職員と学童支援を主とする職員に分かれていますが、全職員が全世帯の状況を把握しています。交代勤務のため、6名の常勤職員が交代で早番勤務になり、早番は全世帯とかかわり、登校する児童・出勤する母親を見送り、保育園児の登園を確認し、施設にとどまる母子の状況も把握します。そして日々、職員全員がそろう時間帯に職員連絡打ち合わせをして、その日の状況も共有します。午後からは学童担当と母子担当と業務が分かれますが、小規模施設であることを活かし、臨機応変に協力して動ける体制を整えています。施設長自ら積極的に現場に入り、入所者の生活全般と職員の動きを把握し、入所者・職員・施設長がそれぞれ対等な関係として話し合え、議論できる施設づくり、また、日々の実践が職員の気づきの場となるように努めています。

そのような中、入所者一人ひとりと自立促進のための面接を実施し、丁寧にアセスメントを行います。これを柱とし、全職員参加のケース会議で検討し、自立支援計画を策定します。支援目標は、母親が主体的に取り組めるよう、母親との話し合いで段階的に設定しています。支援の実施状況については、日々の様子を職員間で情報共有し、1か月ごとに領域別に生活行動記録にまとめ、計画の達成状況を確認し次月につなげ、半年ごとに自立支援計画を見直します。半年ごとの自立面接では、各領域ごとに目標の達成状況について母親に確認し、母親自身が課題に気づき目標設定できるように働きかけています。

このように、全職員が利用者一人ひとりの課題とその自立支援計画をよく理解し、母親と共に目標に向かい、計画と実践の結びついた連続性のある一貫した支援が実施できる仕組みを作っています。

 

3】地域交流を積極的に行っています

当施設は50年ほど前から、当時の久良岐母子寮の小学生や久良岐保育園の卒園児のために学童保育を開始し、夏季には母子寮職員が地域に開いた夏季子ども学校を実施して、地域の子どもたちが心待ちにして参加していた伝統があります。現在も学童部は当施設の子どもだけでなく地域の子どもたちにも開かれていて、数十人が登録しています。学童部には担当職員とともに非常勤職員も配置して力を入れ、通常保育以外に各種行事や保護者交流バーベキュー、夏季には二泊三日のキャンプも実施しています。

また、運営法人主催の「くらき祭り」は恒例の地域交流の場で、当施設の学童児の保護者を中心に地域の親も含めたコミュニケーションの場ともなっています。その他、町内の秋祭りの際は、保育園の園庭に休憩所を設け、飲み物を提供するなど、ここも地域交流の場となっています。

一般的に閉鎖的になりがちな母子生活支援施設の子どもも母親も、当施設ではこのようにごく自然な形で地域と交流しています。

 

●課題となる点

1】計画的な人材育成

人材育成として、当施設では入所者一人ひとりに職員全員がかかわるチームワークと現場での気づきを大切にし、日々の実践の場をそのまま職員の教育・研修の場としています。また、職員会議・ケース会議も利用者を見る視点、現場での気づきを養う研修の場としています。その他、外部研修も積極的に受講できるように必要な環境も確保しています。

しかし、一人ひとりの振り返りと目標設定に関する個人面接、それに基づいた一人ひとりの研修計画の策定、職員の段階的な教育・研修計画の策定等は今後の課題です。また、研修を受講した職員は原則として報告レポートを作成しますが、職員会議等での研修報告と共有、研修成果の評価・分析、次の研修への反映等の文書化も、今後の課題です。

 

【2】自立支援計画に子どもからの視点を取り入れるための取り組み

自立支援計画は母親に対する丁寧なアセスメントを行い、これを柱として作成されています。子どもに対しては、「子の会」で要望や希望を聞くほか、学童以上の子どもに対して年2回個別面接を行い課題や要望について話し合っています。乳幼児に関しては日常会話や表情等から要望をくみ取っています。ただし、アセスメントに子どもの要望についての記載がないので、欄を設ける等の工夫が望まれます。

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