●心泉学園

分野

(対象種別)

運営主体  所在地 使用評価項目

報告書作成日

(運営委員会開催日)

社会的養護

(児童福祉施設)

(社福)心泉学園  

二宮町 

全社協版

2013年12月4日
 
 
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公表用評価結果報告書【心泉学園】.pdf
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報告書より抜粋:総合評価

【施設の概要】

当施設は、昭和15年に現在の地に創立された、私立旧制中学の全寮制「心泉義塾中学」に始まります。心泉義塾中学は、経済的に困難かつ優秀な学生を全国から選抜し無償で教育する教育機関で、心泉医薬株式会社の利益と私財で運営されていました。戦後、社会の要請に応えて、児童福祉法による児童養護施設「心泉学園」として姿を変え、昭和51年に社会福祉法人「心泉学園」として認可を受け、今日に至っています。

東海道線「二宮」駅から海側へ向かい徒歩5分の位置にあり、山あり海ありの自然に恵まれた静かな地域です。この地で開設当初から長い年月をかけ、当施設と地域との良好な関係が培われてきました。現在も地域からの理解、支援には恵まれていて、地域住民のボランティアとしての協力があり、また地域行事に当施設はなくてはならない存在となっています。その他、当初から米海軍・海兵隊との交流があり、現在もボランティアとしてのサポートを受けています。

施設の基本理念として、①「子どもが自然体で生活を送る」②「入所児童一人ひとりを職員全体で見守る」③「施設が児童にとって“心の故郷”となるよう、成長と自立を導く」の3つを掲げています。

入所定員は70名で、現在未就園児から高校生まで65名の子どもたちが生活しています。2年前の平成23年に全面改築して新園舎となり、8つの居住ユニットが独立した単位となりました。それぞれのユニットは幼児寮を除いて基本的に個室で構成されているほか、一般的な家庭と同様に、玄関、居間、食堂、台所、浴室、トイレ、個室を備え、それぞれ子ども6名~12名と職員23名が生活を共にしています。

 

●特に評価が高い点

1】子どもが安心して生活できる施設づくりに取り組んでいます

当施設では、子どもの権利擁護と危機管理を目指してスタートした「安心・安全な取り組み」が根付き、現在「ピース・アドボ」と名付けて取り組んでいます。その由来は、ピース(PEACE:安心・平和)、アドボカシー(ADVOCACY:権利擁護)で、施設の職員と子どもに加え、児童相談所の職員も参加して話し合いを行うことで、子どもたちの日常生活の潜在化した根深い問題に対処し、改善を図る仕組みとなっています。また、子どもの主体性を尊重し、子ども自身が自分や他者を「個」の存在として認識し、尊重しあうことのできる関係作りを目的としています。

その最も特徴的な取り組みとして、子どもと職員が一対一で向き合う時間を定期的に作り、積極的に子どもの意見を取り上げていることが挙げられます。子どもと職員が自然体で向き合えるように、居住ユニット単位で日常的に職員は子どもたちが話をしやすい雰囲気になるよう心がけています。言いやすい場所を積極的に設定して一対一で向き合い、子どもが“聞いて欲しい”タイミングをとらえて一人ひとりに応じた対応をするなど、個々の声を聞き信頼感を得るよう努めています。子どもたちから出された意見や思いはピース・アドボ委員会で内容を検討し、大切なものは「子ども会議」で子どもたちにフィードバックしながら、施設が力の支配のない安心できる「いえ(家)」となるように取り組んでいます。

  職員の粘り強い努力により、現在では自分の意思を伝えたいときに、子どもの方から「アドボしようよ」という声も出るようになっています。

 

2】すべての子どもにすべての職員がかかわることを基本としています

当施設は理念の一つとして「一人ひとりを職員全員で見守る」を挙げています。それを実践するための仕組みとして、まず朝礼、職員会議を情報共有の場として位置付け、その他事例研修会、寮単位の心理カンファレンスなどさまざまな会議を実施しています。

朝礼には毎日1時間をかけ、職員会議とともに全職員が施設全体の状況、子どもたちの様子を把握する場として重要な位置を占めています。また、事例研修会を毎月開催し、さらに臨床心理士が寮単位で職員と子ども一人ひとりに関する心理カンファレンスを定期的に実施し、どの職員も一人ひとりの子どもの特性を知って同じ対応ができるように、職員の意識を高めています。

施設の全面改築でユニット制になり、自分の担当居住ユニット以外の子どもとの交流が以前よりも少なくなりがちですが、職員の宿直は、男子寮は男性職員、女子寮は女性職員が担当するので、そのようなときを担当の居住ユニット以外の子どもたちと実際に触れ合う機会として大切にしています。また、調理員は日々各居住ユニットに出向いて子どもの見ている前で調理をしているので、子どもとの直のふれあいがあります。臨床心理士は小さい子どもとはプレイセラピーを通して、中学生以上の子どもとは面接を通して個別にかかわり、職業指導員も子どもと遊んだり相談に乗ったりと、生活の中でどの子どもともかかわっています。

このような体制の中で、一人ひとりの子どもを職員全員で見守る意識が養われています。

 

 

3】ボランティアや地域交流を通じ、数多くの社会体験の機会が確保されています

地域社会とは開設当初からの長く良好な交流があり、子どもたちにとっては、この交流が一般社会の常識やルールを学ぶ場ともなっています。地域と合同で防災訓練を実施するほか、子どもたちは地元町内会の子ども会に所属し、地域のお祭りや運動会等にも積極的に参加しています。昨今の少子化において、当施設の子どもたちの存在は、さまざまな地域の行事には欠かせない存在となっています。

 また、施設のお祭である「心泉フェスタ」には地域住民を招待し、多数の参加が得られているほか、日常的に施設の1階ホールを地域に開放し地域団体に会合スペースとして提供し、一階の共有スペースには子どもたちの学校の友達や地域の子どもが気軽に遊びに来られるようにするなど、施設を地域に広く開放しています。

 施設ボランティアとの交流もあります。学習指導や理美容、絵画、ピアノレッスンなど複数の個人・団体がボランティアとして登録し、子どもたちと活動を共にしています。その他、米軍海兵隊と米海軍極東通信隊がクリスマスやイースターなどの行事に子どもたちを招待するとともに、毎月145名の米海軍通信隊員が作業奉仕に来園し、窓ふき等の清掃や子どもたちとの遊び・交流を行っています。

このように、子どもたちは狭くなりがちな施設生活の枠を越え、さまざまな人々に温かく守られ、また子どもたち自身も積極的に地域に出ていき、学校の友達の家にも遊びに行くなど、地域社会との交流体験を広げています。

 

 

●課題となる点

1】さらなる業務手順の統一と標準化

業務マニュアルは基本的な行動指針や全職員共通の業務内容のみをまとめた形式にとどまっています。具体的な業務内容の教育・研修は、各居住ユニットごとに支援内容が異なる実状から、実際の支援場面を通じOJTによる個別的な指導が中心となっています。さらなる業務手順の統一と標準化に向けては、支援マニュアルの整備と充実化が今後の課題と考えられます。

また、業務内容の見直しは、寮(23の居住ユニットで構成)ごとの寮会議で出された意見をもとに、主任・リーダー会議や運営検討会議で協議の上職員会議で決定する仕組みとなっています。段階を経て慎重に議論して実施される仕組みですが、今回の調査場面においては、より迅速・円滑な対応を望む意見も散見されています。子どもの意向や状況変化に対応し、タイムリーな支援を実践するためにも、よりスピーディーな意思決定と情報共有、実行に向けた体制作りが期待されます。

 

2】日々の支援と計画との連動性強化

現在、子どものアセスメントに基づき、子ども一人ひとりの自立支援計画が作成されていますが、日々の支援内容との連動性が弱く、十分な活用には至っていません。また、子どもの状況について定期的なモニタリングがなされていないほか、再アセスメントにもその内容が十分に反映されていません。効果的な支援にあたっては、自立支援計画に沿って全職員が明確な支援目標を共有し、同じ方向性で支援を行うことが大変重要と考えられます。

また、日々の支援の状況は、経過記録を作成し職員間で情報共有を図っていますが、記録の内容は自立支援計画との連動性を意識した記述になっていないほか、職員それぞれの視点で記載されている状況から、支援のポイントや内容に差異も生じています。

日々成長する子どもたちの状況変化に対応し、効果的な支援を組み立てるためにも、アセスメントやモニタリングなど一連のプロセスを重視し、より現実に即した実践的な支援計画を策定することが重要と考えられます。今後、子ども一人ひとりの支援目標に応じた、より効果的な支援の実践に向け、自立支援計画をさらに積極的に活用し、職員間で共有化を図る取り組みが期待されます。

 

3】体系的な人材育成

現在、大学教員による園内研修、必要に応じてスーパーバイザーも参加するケース会議、外部研修等で職員の育成をしていますが、段階的な教育・研修計画や職員一人ひとりの個別研修計画は今後の課題となっています。職員が働きやすく、かつレベルアップできる体制づくりが望まれます。

 

 

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