●平塚市花水台ハイム

分野

(対象種別)

運営主体  所在地 使用評価項目

報告書作成日

(評価運営委員会開催日)

社会的養護

(母子生活支援施設)

平塚市

平塚市  全社協版 2014年12月16日
 
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公表用評価結果報告書【平塚市花水台ハイム】.pdf
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報告書より抜粋:総合評価

 

【施設の概要】

「平塚市花水台ハイム」は、平塚市が設置・運営を行う公立の母子生活支援施設です。

昭和24年に開設された後、昭和4212月に新たに「花水台保育園」を併設した複合施設として現在地へ移転し、現在に至るまで65年もの長い歴史を持っています。また現在、当該施設は政令指定都市(横浜市・川崎市・相模原市)を除く神奈川県域地域では唯一の母子生活支援施設で、横浜市が設置・運営する「横浜市みどりハイム」と並んで数少ない公立施設の一つでもあります。

平塚市花水台ハイムは、JR平塚駅からバスで10分程度の、海岸に近い閑静な住宅街の中に立地しています。現在、施設の暫定的な定員は7世帯となっていて、母子が自立に向けた準備を行いながら生活を送っています。

母子生活支援施設は、児童福祉法第38条に規定された利用契約に基づく福祉施設で、主に18歳未満の子どもを養育している母子家庭の母親が子どもと一緒に入所し、さまざまな相談援助を受けながら心身と生活の安定を図り、自立を目指すことを目的としています。なお、昨今はDV(ドメスティック・バイオレンス)や児童虐待などの問題から、緊急避難・保護の目的で利用されるケースも増えていますが、平塚市花水台ハイムではDVや児童虐待などの避難・保護を行うのではなく、経済的理由や家庭環境の問題等を抱える母子を対象に、自立に向けた生活支援を実施していることが特徴です。

施設理念「母と子の安定した生活の営みを支える」「母と子の主体性を尊重し自立への歩みを支える」のもと、入所者の社会生活への円滑な適応と自立生活の実現に向けた支援を行っています。



●特長・優れている点

1】母・子どもに対する多岐・柔軟な支援の実践

平塚市花水台ハイムでは、母子のニーズを丁寧に把握しながら、自立に向けたさまざまな支援を行っています。 

母親に対しては、「入所時面接表」や「自立面談表」「個別支援・指導」など複数のアセスメントシートを用いて多面的に状況把握を行うほか、子どもに対しても「個人面談表」を活用して、現状把握と課題抽出を行うとともに、子どもの意向聴取にも努力しています。抽出された課題は、自立支援計画に明示し、支援内容を具体的に記載して母子・職員相互に認識共有を図っています。

また、実際の支援場面においても、さまざまに工夫を凝らした支援を実施しています。入所後間もない母子世帯には、職員事務室に隣接した居室を提供して、施設ルールや支援内容を説明したり随時相談に応じるなど、積極的なかかわりを通じて不安軽減を図り、施設生活に円滑に順応できるよう配慮しています。例えば居住スペースの整理整頓や食事作りを一緒に行ったり、医療機関への受診付き添いや服薬確認、家計・金銭面の助言・指導も行うほか、子どもの朝の送り出しや母親に代わって送迎を実施するなど、家庭の状況に応じた柔軟な対応を行っています。

そのほか、子どもの学習支援にも取り組んでおり、施設内に学習室を設け、小学校教諭の経験を持つ少年指導員を配置して子どもの理解状況に応じた学習指導を行うほか、夏休みなど長期休暇の期間中には、自習と読書の時間を設定するなど、学習環境の充実化にも努力しています。

 

2】職員間の緊密な情報共有・連携に基づく支援

 施設では、職員相互の密な連携に基づき、入所中の母子に関するさまざまな情報を共有し、統一した対応を実施しています。施設職員は6人と少人数ながら全員が経験豊富で、保育士の資格を有する施設長や母子支援員のほか、元教員である少年指導員、市役所での長い勤務経験を持つ事務職員などが相互に役割を分担し、相互の業務を連携・補完しながら対応を行っています。施設長は自ら職員に声かけを行うとともに、個々の意見を尊重するなど、施設内で積極的に意見交換をしやすい雰囲気作りに努めています。また、夜間の施設管理は外部の警備会社に委託していますが、朝晩の業務引き継ぎでは詳細に情報交換を行い、意思の疎通を図っています。

 入所中の母子に関する情報は、家族構成や生活状況などの基礎情報はもとより、健康診断書や債務状況、金銭管理・就労に関する情報、自立に向けた課題と具体的な支援内容等を文書化し、個人記録に集約しています。母子の日々の出来事や職員のかかわりについても個人記録に詳細に記録し、職員間で情報共有をしています。

そのほか、毎月の職員会議では全職員が参加して支援上の課題を共有し、毎朝の業務引き継ぎや日常業務の中でも積極的に意見交換し、職員間で意志疎通を図っています。子どもへのかかわりにおいても、交代で勤務する少年指導員が相互に連絡ノートを用いて情報共有し、一貫した対応に努めるなどの配慮・工夫も行っています。

このように、施設では少人数組織のメリットを生かし、緊密な情報共有と連携による支援を実践しています。

 

 

●改善や工夫が望まれる点

1】施設機能の充実化に向けた、中長期的展望の明確化を

当該施設は現在地に移転して以降、47年もの長い歴史を持っていますが、その歴史のあゆみとともに社会情勢も大きく変化し、さまざまな課題が山積しています。老朽化した建物は、現在の耐震基準に満たないものとなっているほか、防犯や安全面でも不十分な状況となっています。また、トイレ・浴室などの住宅設備も旧態依然の環境で、入所者のプライバシー保護や快適性に支障も出ています。心のケアを要する母子も増えており、心理専門職の配置も望まれる状況ですが、現時点では新たな専門職の配置は予定されていません。

近年、母子生活支援施設のニーズは大きく変化し、DVや児童虐待などの家庭問題に起因する「緊急避難・保護」を目的に施設入所する母子が多くなっています。母子の個別性尊重とともに、安全性の確保や心理面のケアなど、施設機能や専門性の向上が求められる中、現在の施設機能と社会的ニーズの格差が大きくなっています。今回の調査では、複数の職員から今後の展望について明確化を求める意見が聞かれました。

施設が提供する機能や専門性など、今後の施設のあり方について早期に明確化を図り、福祉ニーズに沿った施設支援の具現化を図る取り組みが期待されます。

 

2】母・子どもの個別性を尊重した、安心で快適な住環境の確保を

設立後長年経過した施設は、施設全体が共同利用を想定した造りとなっていることから、入所者の使い勝手やプライバシー保護の観点など、快適性確保にもさまざまな課題が表出しています。

居住スペースは空調設備がなく、冷房がない環境となっています。また、人数の多い世帯や中高生のいる家庭には、間取りが多く洗面台のある居室を提供していますが、一般の居室は洗面台の設置がなく、二畳程度の台所のほか三畳・四畳半の二間のみで全体的に手狭な環境となっています。浴室は居室から遠い1階部分に設置され、複数名の同時利用を想定した大型浴槽となっています。世帯別に入浴ができるように時間を区切るなど工夫を凝らしてはいるものの、入所中の母子にとっては使い勝手が良くない状況です。トイレも和式便器が主となった古い構造で、幼児のトイレットトレーニングには使いにくいほか、男女兼用で、思春期の児童には異性との共用による心理的抵抗感もあり、快適性は十分とは言えない環境となっています。

母と子どもが安心・快適な生活環境の下で、共に健康的な生活を送るとともに、円滑な自立生活の実現と地域生活の定着を図ることができるよう、より安心で快適な生活環境の確保に向けた取り組みが期待されます。

  

●今後の取り組みが期待される点

事故・ヒヤリハット及び苦情・要望の分析とさらなる活用を

現在施設では、入所中の母・子どもに対し個別性を尊重した支援の実践に努めており、日々の出来事や入所者へのかかわりの内容等を個人記録に詳細に記載して、職員間で情報共有を行っています。個人記録には、子どもの怪我や、夜間の急な病院受診に対応した事例をはじめ、母親からの苦情・要望と職員の対応などについても、時系列に沿って詳細に記載されている状況が確認されました。しかしながら、これまでに発生した事故・ヒヤリハット事例を収集して内容を分析し、今後の対応に生かす試みや、入所者からの苦情・要望を統計的に記録し、内容を精査して施設支援の改善を図る取り組みは行われていません。

さらなる個別性を尊重した利用者支援の実践に向け、事故・ヒヤリハット事例や苦情・要望意見を積極的に情報収集するとともに、分類・統計・分析を実施して組織的に改善を図る体制を構築するなど、今後の新たな取り組みが期待されます。

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