●久良岐乳児院(2015年度)

分野

(対象種別)

運営主体  所在地 使用評価項目

報告書作成日

社会的養護 

(乳児院)

(社福)久良岐母子福祉会

横浜市南区  全社協版 2015年12月22日
報告書全体はこちらからダウンロードできます。
公表用評価結果報告書【久良岐乳児院】2015年度.pdf
PDFファイル 261.4 KB

報告書より抜粋:総合評価

 

【施設の概要】


 社会福祉法人久良岐母子福祉会が運営する久良岐乳児院は、横浜市南区中里の住宅街の中にあります。久良岐乳児院は、3階建ての建物の2階にあり、1階には運営法人本部と保育園があります。運営法人は他に横浜市内で母子生活支援施設、保育園を1園運営しています。

定員27名で、現在0歳から4歳までの子どもたちが生活を共にしています。基本理念は『強く・正しく・明るく』で、それに基づき「おおらかである」「伸び伸びとあかるい」「喜び・悲しみを素直に表現できる」「表情が豊かである」「人間らしい」「貧しくても・つらくても、負けない強い精神力を持つ」を掲げています。

なお、平成28年度より建て替え工事を開始し、近くに一時移転する予定です。

 


●特長・優れている点


1】職員との愛着・信頼関係のもと、子どもたちは安心して生活しています


 施設では、子どもと養育者との一対一のかかわりにより愛着関係が形成されるよう、担当養育制をとっています。一人の職員が13人の子どもを担当して入所から退所まで一貫して個別のかかわりを持っています。ローテーション勤務のため、一人の子どもは担当養育者以外も含めて全員で見守られることになっていますが、職員はできるだけ担当する子どもと一対一でかかわる時間を持つように努めています。アセスメントや指導計画案の作成、子どもの服や持ち物の管理、保護者との連絡などのほか、年に2回、子どもと個別に外出あるいは担当の自宅に子どもが1泊する機会を作っています。

日常の養育では、一人の保育士が23人の子どもを連れて散歩や買い物に出かける、月齢別に分かれて遊ぶ、小規模ケア室で少人数で遊ぶなど、小グループでの活動も取り入れています。小規模ケア室では、4~7人の固定した子どもたちの日中の生活全般を職員2人が見る小規模ケアも行っています。このように小グループや集団での活動で異なる職員が子どもを見る機会を作ることで、子どもを複数の視点でとらえるとともに、担当養育者が子どもを抱え込む心理状態になることを防いでいます。

 職員は子どもの気持ちに寄り添い、子ども一人一人の個性を大切に養育にあたっていて、子どもたちは伸び伸びと自分の気持ちを伝え、安心して施設での生活を過ごしています。

 


2人材育成の仕組みとして「ペアの会」「新人の会」などがあり、機能しています


人材育成の仕組みとして「新人の会」「ペアの会」「中堅の会」「マネージャーの会」などがあります。「ペアの会」「新人の会」は新採用職員および退職後職場復帰した職員向けのメンター制度ですが、長期間をかけて、法人の理念を実践と結びつけて教育するOJTの仕組みです。職員からは、「自分が気づかないことを教えてもらった」「自分を理解してくれる人がいる」「自分のことをここまで考えてくれていたと、後になってわかった」といった声が聞かれ、高く支持されていることがわかります。日常の、多忙で細心の注意を払わなければならない業務の合間を縫って、人を育てていこうという施設幹部職員の姿勢が読み取れます。

 


3】子どもが食に親しみ、食を楽しめるよう工夫しています


 食事は、必要なカロリーや栄養面だけでなく、子どもがさまざまな味に親しみ、食を楽しめるような楽しい献立となっています。季節の食材を中心にさまざまな食材を用い、盛り付けもキャラクターの顔をかたどって盛り付けるなどの工夫をしています。花祭りや七夕、クリスマス等の行事食やバーベキューなどの取り組みも多数行っています。職員は子どもと一緒に楽しくおしゃべりをしながら食事をし、子どもが食を楽しめるように働きかけるとともに、正しい食事のマナーを伝えています。

離乳食についても、子どもの発達段階に沿い、7段階の主食と段階に合わせた食材が詳細に分類された食品段階表に基づき、看護師の指示のもと、栄養士も子どもの様子を見て回り、きめ細かく丁寧に対応しています。

また栄養士と保育士が話し合い、季節の食材に触れたり、おにぎりやピザなどのクッキングをしたりなどの食育も盛んです。ベランダで野菜を栽培し、子どもと一緒に収穫し、その日の食卓にのせるなどの取り組みもしていて、ピーマンやシソの実などの苦手な食材を食べられるようになった子どももいます。このような取り組みを通して、子どもが食に親しみ、正しい食習慣を身に付けられよう援助しています。

今後はさらに、栄養士の子どもの食についての視点も、子どものアセスメントや支援計画の作成に生かしていくことが期待されます。

 


●力を入れて取り組んでいる点


職員は主体的に自立支援計画の策定に取り組んでいます


施設は前回の第三者評価の調査時(平成25年度)、全国乳児福祉協議会の「乳児院におけるアセスメントガイド」に基づいた新しい様式に切り替るため、ケース検討委員会でテストケースの検討をしていました。

平成264月以降の入所児から、実際に新しいアセスメント方式に基づき、担当養育者、家庭支援専門相談員、里親支援専門相談員、看護師等複数の職員や必要に応じて外部の関係者からも意見を聞き、自立支援計画を策定し実施しています。それぞれの子どもの様子や生育歴、家庭の状況等を精査し書き込まれ、子ども一人一人のニーズが示され、適切な養育支援が行われるように手順が決められています。毎月ケース検討委員会で、複数のケースのアセスメントの追加確認等を行い、1年間で全入所児1回以上の見直しを行い、措置変更等の場合にも見直しをしています。同月齢児を担当する養育者のグループカンファレンスの会での検討内容もケース検討に反映させています。運営法人も講師を招き、全職員対象のケースカンファレンスの学習会をしています。

こうした取り組みの中で、職員の子ども理解が進み、アセスメント力が高まっています。この過程で入職3年未満の職員の再勉強会の計画や、さらに久良岐乳児院オリジナルのアセスメントガイドを作る必要性を感じ、職員は主体性を持ち、意欲的に取り組んでいます。

 


●改善や工夫が望まれる点


キャリアパスと業務分掌の明示


職員の定着率は高く、就業意欲も高いことがうかがわれます。それを支える人材育成の仕組みとして、ペアの会(メンター)や中堅の会等が機能しています。自己評価の仕組みとしては「職員チェックリスト」があり、日々の実践を振り返り、新たな実践につなげることができています。この「職員チェックリスト」には、養育にあたる者として求められる専門的知識、技術について具体的に示されています。また、法人の理念を深く浸透させるための教育・研修も活発に行われています。さらに、理念を実現するための職員の行動基準としての法人倫理綱領の見直しにも着手しています。

今後は、このような人材育成の実践経験を基に、キャリアパスと業務分掌を明確にし、明文化することが期待されます。職員それぞれが社会的養護の専門職としてどのように成長していけるのか、どのような基準でステップアップしていけるのか、その道筋をキャリアパスとして示すことで、より一層のモチベーションの向上につながると思われます。また、現状では係の仕事として提示されている役割分担を業務分掌として明示することで、業務別・階層別の責任の所在がより明確になります。これにより、職員一人一人の役割が明確になり、根拠に基づく養育、支援がさらに進むことが期待されます。

 


●今後の工夫が期待される点


遊びの環境などのさらなる工夫


 施設では子どもの成長や発達に合わせた遊びを提供するため、遊び係が中心となり、遊びの環境設定を行っています。おもちゃは、安全のため自分で好きなおもちゃを選べるのは小規模ケア室のみとなっていますが、複数のおもちゃを出すなどの工夫をしています。また、職員の状況に余裕がある場合は、小さなグループで遊ぶ機会を作り、月齢や発達に合わせた遊びができるようにしています。

 ただし、大きな区切りのないプレイルームで月齢が異なる子どもが一緒に遊ぶことも多く、安心・安全を優先するため月齢の低い子どもに合わせた遊びが提供されることになります。建て替えを控えているため大きな環境変更は難しいですが、遊びは乳幼児が起きている時間の大半を占めていることもあり、遊びのためのさらなる工夫が期待されます。

お問い合わせ

TEL: 050-3786-7048 

FAX: 045-330-6048

E-mail:

 daihyo★hyoukashimin.jp

 ※★を@に変えて送信

住所

〒231-0003

横浜市中区北仲通3-33

関内フューチャーセンター153