【施設の概要】
「にじいろ保育園上星川」は、相鉄本線「上星川」駅から国道16号線をはさんで、徒歩5分足らずの坂の途中にあります。周辺は住宅地で、緑豊かな公園もあり落ち着いた雰囲気となっています。園の玄関の手前の急坂には、子どもに合わせた手すりをつけてあります。
2013年4月、新築の園舎で開設された認可保育園です。園舎は2階建てで、床・ロッカー・ウッドデッキなど天然木が使用され木の香りがしています。広くはありませんが砂場のある園庭もあります。定員は0歳から5歳まで50名で、開設時間は平日午前7時~午後8時、土曜日は午前7時~午後6時です。(延長保育時間を含みます。)
運営法人は、株式会社サクセスアカデミーです。運営法人は保育園・学童クラブ・児童館の運営、病院・事業所・大学内の保育委託サービス、保育施設運営のコンサルティングサービス等を、首都圏を中心に幅広く展開しています。
保育理念は「のびやかに育て だいちの芽」、保育目標を1、自然を愛し、心身ともに健やかな子ども 2、自分で考え行動し、意欲と根気のある子ども 3.「仲間」と関わり、人を思いやれる子ども 4.自己を表現できる子ども としています。
●特長・優れている点
【1】子どもたちは一人一人見守られ、体も心も育っています
〇乳児クラス(園では0、1、2歳児を乳児クラス、3、4、5歳児を幼児クラスとしています。以下同じ)、幼児クラスとも少人数で、いつも子どもたちに職員の目が届いています。登園時も保育士は保護者や子どもと温かい言葉を交わしています。保育士は0歳児クラスの食事の時間を離乳食の段階によってずらすなど、発達過程に沿って個別に対応をしています。昼食後の歯磨きは5歳児も保育士に仕上げ磨きをしてもらっていますが、和やかで少し大きい家庭のような雰囲気です。
〇子どもたちは、体を動かすことが大好きなので体力がついています。天気のよい日の朝は1歳児以上が園庭に出て、みんなでラジオ体操等を曲に合わせてしています。それを0歳児が窓ガラス越しに見ていますが、真似をして今にも動きそうな様子の子どももいます。雨天の日もパーティションを外した保育室で、乳児、幼児とも体操、ダンス、体育的ゲームを楽しんでいます。散歩でもその年齢なりに坂道も元気よく歩き、幼児は毎週雑巾がけをしています。話を聞くときなどの子どもたちの姿勢がよいこと、食事を残す子どもが少ないことからも日々の積み重ねが健康な体を作っていることがうかがえます。
〇子どもたちは好奇心が旺盛です。乳児の散歩中も高いところの看板や店の中で見えにくいところから、動物やアニメのキャラクターを探し出します。国道や線路を走る乗り物、プランターの花、店先の水槽のメダカなどもじっと見ています。幼児も生活の中で、公園で見た虫を図鑑で調べたり、絵本を見たり、手紙を書いたりして、自然や文字に興味を持っています。保育士は子どもたちの好奇心を大切にして、図鑑や掲示物を用意したり、手作りおもちゃを作ったり、手助けや声かけをしたりしていますが、こうしたことにより将来の生きた学力につながると思われます。
〇異年齢児保育の場が多くあります。1、2階にそれぞれ3部屋ずつの保育室はパーティションを外して、人数と目的に合わせ広くして、朝夕の自由遊びや体操、全員で行う行事、幼児クラスの体操教室や造形活動等が行われています。また、クラスを越えて散歩や遊びを一緒にすることも多いです。しかし、この組み合わせは臨機応変で2歳児と幼児合同、3、4歳児だけ、4,5歳児だけというようにさまざまな組み合わせがあります。公園に行くときは、細かい指示をされなくても異年齢同士で手をつないで行きますし、遊びの中でも年上の子どもは年下の子どもを思いやり、年下の子どもは年上の子どもを見習っています。
【2】職員はチームワークよく連携して保育をしています
〇保育士はクラス担任同士、乳児クラス、幼児クラスで協力し保育をしています。また、欠員が出たり、休暇を取ったりしたときなどの協力体制も、常勤・非常勤を問わず助け合って、子どもたちに支障がないようにしています。乳児クラスの遊び、給食、午睡時も自然に役割を分担しています。幼児クラスは合同保育をするときは、クラスを越えて連携しています。そんなとき、保育士同士も「ありがとうございます」と気持ちのよいあいさつをしている場面が見受けられました。園長・主任は職員の相談に応じたり助言をしたりして、リーダーシップを発揮しています。
〇栄養士は運営法人の献立表を参考に独自の献立を作り、調理師とおいしい給食を作っています。保護者向けには給食だよりを作成し、試食会を開催したりレシピを配布したりして保護者にも喜ばれています。壁に独自献立の世界のスープが地図に掲示されていますが、子どもたちが保護者に得意そうに教えているそうです。また、保育士と連携して食育を進めています。幼児には三大栄養素を指導し、クッキングでは乳児は食材に触れることから始め、年齢に応じた「しごと」をして、サラダやずんだもち、カレー等を作っています。
〇看護師は、毎朝全クラスを巡回し、毎月身体測定をするなど、子どもたちの健康状態を把握しています。歯磨き指導も歯が生え始めた乳児から5歳児まで、毎年指導し保育士に引き継いでいます。0歳児の保育に入ることもあり、職員間の情報を共有し、また保護者向けに保健だよりを発行しています。全職員を対象に感染症等の研修も行っています。
【3】研修体制が充実しています
〇職員は計画的な研修を受け、その内容は職員間で共有しています。横浜市、保土ケ谷区、その他の外部研修は、常勤・非常勤を問わず受けています。運営法人が主催する新人研修・職種や階層別の研修は受講が必須で充実したプログラムです。また、園内研修も毎月テーマを決めて行っています。新人職員には連絡帳の書き方から、登園降園時の対応、給食や午睡時の対応等きめ細かく指導しています。経年職員にも子どもへのかかわり方等は何回かに分けて行っています。例えば「子どもへのかかわり方」について、講師の話を聞くのみではなく、事例検討をグループ討議で行い、よい対応を考えていくというような職員の主体性を大事にした研修を行っています。
●さらなる取り組みが望まれる点
【1】地域支援や地域開放の参加者の増加を
〇園は開園して3年目ですが、新しい園と感じさせない落ち着いた雰囲気となっています。
地域支援や地域開放については、週1回の育児相談や絵本の貸し出し、1か月に1回の臨床心理士による巡回相談や園開放に取り組み、ボランティアや実習生の受け入れも行っていて、仕組みはできています。園開放では、ベビーマッサージ、絵本の読み聞かせ、手遊びなどを行い、保護者に対して離乳食の話をする等、保育所の専門性を生かした取り組みをしています。しかし、地域からの参加者は多いとは言えません。また、園内の子どもについての記録(連絡帳、計画の振り返り、保育日誌、個別の子どもの記録等)が丁寧で充実していることに比べて、地域支援や地域開放の記録は、園の記録として十分と言えないものがあります。園も外の掲示板にポスターを貼ったり、チラシを配布したりしていますが、さらに広報を工夫するなど「地域と共に育つ保育園」として地域の核となることが期待されます。