分野 (対象種別) |
運営主体 | 所在地 | 使用評価項目 |
報告書作成日 (評価運営委員会開催日) |
保育 (認可保育所) |
(株)サクセスアカデミー | 横浜市泉区 | 横浜市版 | 2013年2月22日 |
【施設の概要】
にじいろ保育園いずみ中央は、相鉄いずみ野線「いずみ中央」駅から歩いて5分ほどの店舗やマンションが並ぶ一角にあります。園の周囲は緑が多く、大小の公園や和泉川沿いの散歩道、森などがあり、豊かな自然と触れ合うことができます。
にじいろ保育園いずみ中央は平成21年(2009年)4月1日に株式会社サクセスアカデミーによって設立されました。法人は神奈川県内で多数の保育園を運営するほか、東京都や千葉県などで保育園や学童クラブを運営しています。また、病院・企業・大学内の保育受託サービスも展開しています。
園舎は、鉄筋コンクリート造4階建てのビルの地下1階から3階までを用いています。園の前には小さな園庭があり、子どもたちがプランターで花や野菜を育てています。
定員は56名(0歳児~5歳児)、開園時間は平日は7:00~20:00、土曜日は7:00~18:00です。
保育理念は、「みんなが輝く社会のために、1、陽だまりのような保育園 2、地域とともに育つ保育園 3、子どもとともに輝いていける保育園」です。保育目標は「~みとめ愛・みつめ愛・ひびき愛~信頼・安定・共感」で、目指す子ども像として「1、自然を愛し、心身ともに健康な子ども、2意欲と根気のある子ども、3、仲間と関わり、人を思いやれる子ども、4、自己表現ができ、想像力豊かな子ども、5、自分から考えて行動できる子ども、6、生活に必要な基本的な習慣を身につけた子ども」を具体的に挙げています。
●特長・優れている点
【1】子どもたちは落ち着いて、メリハリのある生活を過ごしています
保育士は、子どもたちが安全で安心な園生活が送れるよう、一人ひとりに向き合い、温もりのある環境設定を心がけています。園内での子どもたちは落ち着いていて、それぞれのペースで一人で好きなことをしたり、友達と穏やかにおしゃべりをしたり、一緒に遊んだりしています。また、保育士が話をするときには、姿勢よく、落ち着いて、集中して聞くことができます。
保育士は、乳児のときから、着替えや片づけなどを自分でできるよう少しずつ働きかけていますが、決して強制することなく子どもが自分からやる気になるように声かけを工夫しています。子どもたちは少しずつ生活習慣を身につけていて、2歳になるとトイレの順番をおとなしく並んで待ったり、スリッパをそろえたり、食事後いすを片づけたりなど集団生活でのルールを確実に身につけています。
このように落ち着きのある子どもたちですが、公園などでの自由遊びではとても元気です。友だちと走り回ったり、松ぼっくりを探したり、友だちとルールを決めて鬼ごっこをしたりと身体をたくさん動かしています。自由遊びのときの子どもたちは生き生きとして、たくさんおしゃべりをし、とても楽しそうです。
子どもたちはメリハリのある園生活を楽しんでいて、保育目標が実践されています。
【2】保育士は、子どもの主体性を大切に、子どもたちの心に寄り添うよう努めています
園では子どもの人権についてのマニュアルを基に、言葉遣いや子どもへのかかわりについて研修や話し合いを重ねています。保育士は子どもたちをせかすことなく、子どものペースに合わせて子どもに接し、子どもの心を大切にするよう努めています。
活動の前には、保育士は必ず子どもたちに活動の目的や内容について説明し、子どもの気持ちを確かめています。子どもたちから意見が出たときには、子どもたちと話し合い、子どもが納得して活動に取り組めるように働きかけています。保育士の問いかけに対して、子どもたちは賛成したり、活発に意見を言うなどして反応しています。
また、毎朝の各クラスの代表が参加して行われるミーティングでは、子どもや保護者の様子、活動の予定などの情報共有がなされ、各自が全クラスの様子を把握しています。観察時にも、幼児クラスの子どもが乳児の保育室をのぞいて保育士に声をかけたり、ほかのクラスの子どもを保育士が気遣ったりする姿が見受けられました。
今後も園内研修などを重ねて保育士がスキルアップすることで、保育目標にある「自分から考えて行動できる子ども」に表される主体性をもって自主的に動く子どもの育成がなされることが期待されます。
【3】地域の住民と積極的に交流しています
園では、天気が良い日には毎日、散歩に出かけています。保育士と子どもたちは散歩で出会う近隣住民とあいさつや会話を交わしたり、公園で出会った近所の親子連れと一緒に遊んだりしています。
近くにあるいずみ中央地域ケアプラザとは日常的に交流していて、デイサービスを子どもたちが年2回訪問して歌や合奏を披露したり、園の行事にお年寄りを招待したりするほか、ケアプラザの交通安全教室に子どもたちが参加したり、散歩の途中で子どもたちが寄ってあいさつを交わしたり、ケアプラザの裏の畑でサツマイモやジャガイモを育て、イモ掘りを一緒に楽しんだりなどして交流しています。
また、近隣の保育園とも交流していて、公園で一緒に遊んだり、お互いの園を訪問し合ったりしています。
地域の子育て支援としては、園の行事に地域の親子連れを招待し園児たちと交流するとともに、園の掲示板に育児相談に応じている旨を掲示し、見学や園の行事に参加した保護者の相談にのっています。また、園の構造上の問題などもあり園庭開放などは実施していませんが、いずみ中央地域ケアプラザの子育て支援事業に協力し、園長が育児講座の講師や育児相談を行っています。
今後も、地域ケアプラザで定期的な育児講座を開催するなど、保育園としてのノウハウを地域の保護者のために生かす取り組みを継続し、地域との双方向の交流がさらに深まることを期待します。
【4】食育を通し、子どもたちの食への関心が育っています
園では「食育課程」を作成し、食育を積極的に行っています。食育活動として、ジャガイモ洗いやトウモロコシの皮むき、枝豆のさやとり、サンマの骨取りなど食材への関心が育つような活動を行っています。幼児は、月1回、クッキング活動として、自分たちが育てたトマトを用いての夏野菜カレー作りをはじめ、スイートポテト、クリスマスケーキ、お好み焼き、もちつきなどを行っています。また、3色分けのパネルシアター、園庭での栽培活動なども行っています。
献立は法人本部作成の統一された献立をもとに、そのときどきの行事や食育活動、子どもたちの喫食状況などを考慮し、季節感のある園独自の献立を栄養士が作成しています。クリスマスや卒園式などの行事の際のメニューには子どもたちの声も採り入れられています。
このようなさまざまな取り組みを通し、子どもたちの食への関心が育っていて、給食のときには乳児でも献立に用いられているたくさんの食材を言い当てることができます。幼児は「体を作る食材」「力をつける食材」「調子を整える食材」の3つの栄養素に分け、栄養素とその働きを理解していて、子どもたちの食への関心がうかがわれます。
●今後の取り組みが期待される点
保護者の要望や意見を収集しつつ、情報提供を行うことが望まれます
園では乳児は毎日、幼児は必要に応じて連絡帳を用い保護者と情報交換しています。また、保育士は朝夕の送迎時には保護者との会話に努め、子どもについての情報を共有するとともに、保護者の相談にのっています。保護者の相談は記録され、継続的な支援ができるようになっています。
しかし、このような保護者との連携に対する園の取り組みにもかかわらず、家族(保護者)アンケートにおいては、園に対する要望が見受けられました。玄関に意見箱「スマイルBOX」を設置していますが、現在のところ意見や苦情が入っていたことはないようです。保護者からの意見や要望からは、園の運営やコミュニケーションの課題を知ることができます。そのためには、メールやアンケートなどの方法を含めて、園に対する要望や意見が集まる仕組みを作る工夫が必要かと考えられます。
さらに、園としても、保護者の疑問や意見に対し、従来の書面や口頭での説明以外の多様な方法も検討した上で、園としての意図や事実が「伝わる」工夫が望まれます。そうしたことにより、相互のコミュニケーションが活性化し、信頼関係がより深まることが期待されます。